<取材>昆布の種苗

投稿日:2015年12月24日 投稿者:sot

先日岩手県田老町漁協さんにお伺いしました。漁協さんのH氏が昆布の種苗施設を見せてくれました。海藻類の生態って誰も良く知らないと思います。もちろん私もです。それはそれは神秘です。もともと原始的な生き物ですが、その生き物をこうして管理しているのかと思うと逆に近未来のSFのようです。青く光る水槽の中に彼らは小さい葉っぱのような命が育っているのです。

 

そしてさらに感動したのは、まだ受精しないままの雄と雌の種が年ごとにフラスコの中に保存されているのです。受精は温度帯によっておこなわれるそうです。この部屋の温度は20度。だから受精しないのだそうです。こうして未受精の種を保存しておくことで不慮のことがあっても対応できるのだそうです。実際震災の時に海の養殖施設が流されてしまった時にこの種たちを配り岩手の漁協を救ったそうです。すごい!こんなに地味な仕事だけどちゃんと海の生命をまもっているんだ!そう思ったら、いつものんびりして見えるH氏が漁協を飛び回るスーパーマンに見えました。
昆布フラスコ
オス(細長いもの)とメス(丸いもの)
画像/「防潮堤は壊れても〜田老の海〜」ブログより

 

沢山並んだ白い水槽の中に入れられた糸車のようなロープには茶色い小さな小さな命がびっしり。そしてこのロープを生産者にお渡しするのです。簡単そうですがここまでになるのには非常に高い技術と経験が必要で、はっと夢にまでみて飛び起きる位心配なんそうです。そして、その子たちが荒波に揉まれて育つのですが、それでも流されてしまったり順調に育つとは限らないそうです。なんだかそんな苦労があるなんて、、と思うと昆布もえらいもんだと思うのです。もちろん天然の昆布もありますが、養殖の昆布もなければ何か合った時にその種が守れなくなるので、バランスをとるためにつくるのだそうです。こうしてまた田老の海に育つ昆布は純な昆布として受け継がれていくのです。

 

種苗をロープにつけていく作業も見学させてもらいました。10センチほどに種苗のロープを切り、養殖用のロープに挟み込んでいきます。これも家族の仕事。息子さんはこのロープをもってブイにつけにいくそうです。良く育てよと皆が思うことでしょう。

 

 

こんぶ

 

 

 

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