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自然とともに綴る東北食物暦

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いわて 里山食物暦【根菜】矢越かぶ
 

子孫を訪ねてようやく復活を果たす

矢越かぶは、一関市矢越地区で作られていましたが、戦後食料が豊富になり、一時途絶えてしまいました。平成6年頃に、地域興しの一環として地元に伝わる矢越かぶを探していたところ、気仙沼大島に伝わり育てられていました。そこで種を取り寄せて復活させました。現在は、地元で3軒、面積は20アールくらいでの生産ですので今後の広がりが期待されるところです。
繊維が豊富で歯ごたえがあり、長時間煮込んでも、煮くずれのしないので、シチューやポトフなどの煮込み料理に適しています。加熱調理すると黄色味と甘みが増します。糖分があり、冬場、雪の中でも成長を続けます。旬は12〜1月ごろです。
 
■奇跡の復活を遂げた幻のかぶレポート 2013年3月31日
東北には今もなお、多彩な郷土料理、独自の食材が残っています。
生産者map5それらは、東北の風土がもたらした自然の恵みと先人が残した生活の知恵が加えられ各地で引き継がれています。

このような全国に誇るべき東北の食文化に対する理解を食材の視点から深めるとともに、地域で生産される食材を大切な資源として次世代に引き継がれることを願い、生産者さんのお話をお届けしていきたいと思います。

 

今回は、岩手県一関市室根町矢越の『矢越かぶ』のご紹介です。

 

【生産者紹介】

室根山から気仙沼湾へ流れ出る、源流の二級河川太田川(だいたがわ)流域の標高170Mに位置する室根町矢越地域で、「幻のかぶ」と呼ばれている矢越かぶを生産する小野寺さん。

ひこばえ食工房を併設し、平成9年に岩手県『食の匠』に認定された一関市の伝統料理「かぶ蒸かし」を加工生産しています。

 

岩手県『食の匠』にも選ばれた「ふるさとの味伝承の会」は小野寺さんのお母様はじめ6名で活動し、

その後六次産業として組合を設立し、現在は小野寺さんご自身が跡を継ぎ活動を続けています。

 

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「かぶ蒸かし」とは、季節の野菜や山菜などを味付けし、もち米と一緒に蒸かした東北地方の郷土料理「お蒸かし」の一種です。

もち米でつくる炊き込みご飯は、赤飯を「おこわ」その他の炊き込みごはんを「お蒸かし」と呼ぶが、「おこわ」も「お蒸かし」も同じ意味として使われている場合が多く、四季を通して旬の食材を用い、それぞれの味を楽しむ今なお地元で愛され続けている料理です。

かぶ蒸かしは現在、一関と気仙沼をつなぐ国道284号沿いの産地直売所「旬菜館」で採れたての新鮮野菜・花や手づくり味噌・豆腐・まんじゅうなどの加工品や、森と海の恵といった地場産品がたくさん並ぶ中で人気商品のひとつでもあります。

 

 

 

【矢越かぶの歴史】

矢越かぶのルーツは、一説によると明治の開国時、種の行商人が西洋から持ち込んだのが始まりと言われているそうです。 昭和初期に磐仙日日新聞から刊行された「東磐井大観」には、「矢越蕪と云う物ありて本村の改良に基づくもの、耕作風味貯蔵耐ゆる良種にして之れが普及を図りおれり」との記述があり、昭和の初めには盛んに栽培されていた様子です。

当時は野菜というよりかて飯の材料、つまり主食の増量材として、また甘味料として位置づけられていましたがコメの増産やサツマイモの導入によって衰退し地域から姿を消し絶滅したものとみられていました。

しかし、戦後に矢越から宮城県気仙沼市の大島に持ち込まれ、途絶えることなく栽培されていることがわかりました。大島は小野寺さんの奥様のご実家でもあり、この地域に残されていたわずかな種を分けてもらい矢越地区での栽培が復活した、まさに「幻のかぶ」なのです。現在は小野寺さんともう一人で生産している大変貴重な存在であり、今でも地元の方に愛されている食材のひとつです。

(現在、大島の畑は津波の影響で全滅したため、今度は矢越からかぶの種を持って行きたいとおしゃってました。)

 

【矢越かぶの特徴】

西洋ではルタバカと呼ばれ、果肉は黄色く寒さに当たり甘みが増し実が締まってくるので煮崩れしにくく、貯蔵性に大変優れています。

夏に種を播き冬に収穫することから寒さに強いかぶとされているそうです。

食物繊維の含量量が抜群に高く、甘さがあり、ビタミンやミネラル類も豊富に含めれています。

 

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【伝統的な食べ方】

伝統的な食べ方はこれまでかて飯が主でしたが、現在は主食としてのかぶ蒸かしや生食でサラダ、他にもてんぷら、漬物、お浸しにして食べられています。 また、実のしっかりしたかぶなので、煮崩れしにくく、加熱することで甘み引き出してくれるのでシチューやポトフなどにも向いており、鮮やかな山吹色が料理に彩りを添えてくれます。

矢越かぶの保存は、従来は千切りにして天日干しにするそうです。そうすることでよく乾燥し、甘みがぐっと増し切り口の色合いも良くきれいな山吹色になります。

 

【矢越かぶの栽培方法】

小野寺さんの農地では鶏を飼っており、餌はクズ米やモミ殻で飼育し鶏が出した糞をたい肥として土作りに使う循環型農法をしています。 自家採取された種子を7月末に種まきした後、成長状況により2度に分け間引きを行い、種まきから2~3か月経ったころ収穫します。

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病虫害に強くて無農薬・有機栽培が可能です。一般には秋から冬に収穫して貯蔵しますが、矢越かぶは寒さに強く、糖分が高いので凍らないのです。そのため、春まで収穫しないで雪下で越冬させても低温で成長していくのです。 収穫後、洗浄し土を落とし、藁やイグサを編んだ筵(むしろ)を敷き乾燥させることで、収穫直後より鮮やかな山吹色になり甘みが増すのです。

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小野寺さんは現在 7 aの畑で生産していますが、今年は 10 aに広げ、生産を増やしていき、幻のかぶ「矢越かぶ」を次世代に受け継いでいけるように一層力を入れていきたい、そして全国のみなさんに矢越かぶの魅力もっと広めていきたいと力強く語っていた姿が印象的です。

 

 

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生産者:小野寺寛さん

住所:岩手県一関市室根町矢越字二本木182

TEL:0191-64-3671

いわて 里山食物暦【根菜】南部一郎 かぼちゃ
 

南部はいわてのこと 奥州の黄金かぼちゃ

「南部」は岩手の総称で、「一郎」は、もともとの種を持っている方が横田一郎さんという方で合わせて、南部一郎というネーミングになりました。
岩手県一関市で生産、収穫をしているのですが、この集落は、中世時代に中尊寺を経済的に支えた村だったということで、中尊寺ゆかりの町です。色が黄金色をしているので、「黄金かぼちゃ」としてアピールしてきましたが、南部一郎かぼちゃとして生産されてからは6~7年です。
冬至はかぼちゃの時期。岩手は厳しい寒さがあり、収穫から出荷まで寒暖の差があるおかげで、甘みが増します。寒締めの冬のかぼちゃとして、スイーツなどにも使えるかぼちゃです。

いわて 里山食物暦【山食物】短角牛
 

フリーな牛 スローな牛

短角牛は、放牧型の自然共生型畜産として注目を浴びています。自然交配で仔牛を生み、子育ても上手な牛です。夏山冬里といって、夏は山に居てのんびり草を食べ、冬になったら里に戻るという自然な生活を送っています。まさに環境にやさしい畜産なのです。そして今は赤肉ブーム。にも関わらず、放牧型畜産の代表格である岩手県北上山系を中心とした日本短角牛の苦境は91年の牛肉輸入自由化以降深まっています。生産者が減少して行く中、明るいニュースとしては、岩泉町の短角牛は、イタリアのスローフード協会の「味の箱舟」に選ばれた事です。今後も北上山系の風土に溶け込んだ短角牛飼育に誇りと自信をもって継続してほしいと思います。
 

短角牛2

■主な産地/岩手県北
■生態と特徴
いわて短角牛は、旧南部藩時代に沿岸と内陸を結ぶ「塩の道」で物資の輸送に使われていた「南部牛」がそのルーツ。この伝統ある品種に明治以降に米国から輸入されたショートホーン種を交配し、品質改良を重ねた末に昭和32年に、日本固有の「肉専用種」として認定されました。赤茶色の毛色から「赤べこ」の愛称で地元の人々に親しまれてきました。飼養地域は旧南部藩の岩手県北を中心に秋田県、青森県、北海道などです。これらの地域はかつての馬産地が多く、馬産時代の牧野や周辺の林地を利用した夏山冬里方式、「里で生まれ、山で育つ」の放牧型飼育が続けられてきました。北東北の厳しい気候にも高い適応力を持っています。冬でも雪にある野原で過ごすことがあります。
種付けは「まき牛」と呼ばれる放牧地での自然交配で、3~5月ころに子牛が生まれ、母牛とともに秋まで放牧育成されます。秋に里に降ろされて、肥育素牛として販売されます。肥育期間はその後14~18カ月で、粗飼料と穀物で育てられ生後22~26カ月で仕上げられます。
 
その肉質は、脂肪が少なめの赤身肉が身上。グルタミン酸など旨味の基となるアミノ酸がたっぷりと含まれているのが特徴です。近年、ほど良い食感と噛むほどにあふれ出す肉本来の甘みと旨味から「赤身がおいしい和牛」として肉好きの人々から強い支持を集めつつあり、黒毛和種(霜降り肉)にも劣らない評価を受けています。しかしながら、独自の夏山冬里方式は、自然交配の為、通年出荷が難しい面も…。その為、現在の市場での流通量は国内の肉用牛の1〜2%程度に留まっています。
 赤みが強い短角牛は、熟成に向いているとされることもあり、急速に技術が高まっているドライエイジング製法などの熟成・保存手法とも相まって、そのすそ野が広がることが期待されているところです。

■食べ方
「肉らしい肉」「ヘルシーでおいしい」といわれるいわて短角牛は、黒毛和牛などと比べると脂肪分が少なめ。すき焼き、しゃぶしゃぶ、ステーキ、焼肉など、いずれも食べあきせずに、肉本来の旨味を味わえます。

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