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いわて 里山食物暦【さかな】サケ
 

ふるさとに還るサケ 復興のシンボル

2014年秋、この年も生まれた岩手の川にサケが帰ってきました。
 
岩手県は北海道に次いで全国第2位、本州では第1位のサケ水揚量を誇り、地元にとっては古くから無くてはならない魚です。
サケ資源は人工ふ化放流事業によって支えられていますが、放流を開始してまもない時期に多くのふ化場が被災したため、2011年春は例年どおりの放流ができませんでした。当時、被災を免れたふ化場の関係者は、余震が続く中、特別な思いを持ってサケの稚魚を見送ったといいます。
サケは4年魚を中心に、生まれてから3~6年後に戻ってきます。
2014年は東日本大震災があった年に放流されたサケが4年魚として帰ってくる年でしたので、関係者は不安な気持ちでサケの帰りを待っていました。しかし、前年よりも多くのサケが戻ってきました。それは大変嬉しいことで、復興のサケと言ってもいいくらいです。
 
震災から3年が経ち、2014年には震災前と同水準のサケ稚魚が放流できるようになりました。
岩手県のサケ水揚量は1999年以降、減少の一途を辿っていますが、震災を乗り越えて帰ってきたこの奇跡のサケに勇気をもらっています。
 

サケのポワレ
サケのコンフィ

 

■主な産地/三陸沖
■水揚げ最盛期/10~12月
■生態と特徴
サケ目サケ科サケ属の魚。獲れる時期や成長段階の違いによる別名に、「オオメ(トキシラズ)」「ケイジ」があります。和名の「サケ」の由来については、アイヌ語で「夏」を意味する「シャク」が訛ったものなど、諸説あります。
北太平洋に広く分布し、日本では東北以北に多く北海道と岩手県で漁獲量のほとんどを占め、本州に限れば、漁獲高の80%が三陸産です。産卵期は9~2月で、三陸では10~12月が主な遡上期。孵化までは約2カ月で、春に海に降りて北太平洋を回遊し、4~6年後に生まれた川に帰って産卵します。
三陸では主に定置網で漁獲され、産卵のために沿岸や川に戻って来た「秋サケ」、春に沿岸で漁獲される回遊期の「オオメ(トキシラズ)」、秋サケと一緒に漁獲される回遊期の「ケイジ」に分けて取引されています。サケ類は、一般に海を回遊している時期のものが脂が乗って美味しいため、このような区分で取引されますが、最も多く取れる秋サケは、その成熟度合いによって三陸ではギンケ、Aブナ、Bブナ、Cブナなどに分類され、それぞれ価格も異なります。ブナとは、成熟したサケの体の模様が、樹木のブナの表皮に似ていることから名付けられたとされています。
成熟が進むと脂肪分が栄養源として体内で吸収され、脂肪が減少するため、成熟が進んでいない「ギンケ」が最も高値で取引されています。ギンケは主に生鮮で流通し、塩焼きやソテーなどで食されます。やや成熟が進み、適度に脂が抜けたAブナやBブナは、新巻や燻製等に向いています。河川に遡上したものや河口付近でとれたものは脂肪分が少なく、そのまま食べるよりも、寒風にさらして成熟させる伝統的な加工法・新巻(寒干し、塩引き)などの保存食や、お茶漬け用になります。

サケの一生

 

荒巻鮭
最高の鮭から「オス」で魚体の大きなものだけが選び分けられます。
腹抜きされた鮭にその上にまんべんなく塩を擦り込みます。この時、魚の中の水分が追い出されます。サケの天地を返して、また新たな塩を5〜6回繰り返し打ちます。日陰の風通しの良いところで、10日間ほど吊るします。これを「日陰寒風干し」といい、みるみるうちに輝きが出てきて、おいしい荒巻鮭の姿を見せてきます。三陸の冬の保存食として、大切に食べられてきました。
荒巻鮭1

 

荒巻鮭2
荒巻鮭の粕漬鍋

いわて 里山食物暦【さかな】ホタテ
 

大船渡発 ふわふわと海に揺れる耳吊り方式のホタテ漁

小石浜、恋し浜のホタテ漁は夜中の1時、港から船は出漁。30分ほどの距離の湾内で船の灯りを頼りに大船渡発信の「耳吊り方式」のホタテ漁が始まります。1000本のロープを下ろしているそうで、そのうちの1本を引き上げます。沢山のホタテがついています。船上でホタテについたムール貝などをナイフでガシガシと剥いで行きます。船には、そのガシガシという音に、エンジンの音とラジオの深夜放送が混ざって聞こえてきます。一晩、約3時間半ほどでおよそ200キログラム、800から1000枚ほどのホタテを取るそうです。
小石浜の湾は水深が40メートルもあり、ホタテ漁に向いているそうです。
 
4時。港でお母さんたちが待っています。船からホタテのカゴを運びます。ホタテの出荷まで2時間。急いでホタテの表面についた付着物を除く作業に入ります。洗浄機では落としきれないものは1個づつ手作業できれいにしていきます。ようやくホタテの出荷に間に合いました。
 
ホタテは冷水性の貝で、海水温5度~20度が生息に適しています。日本近海では東北から北海道にかけた冷たい海で生息しています。かつてホタテの養殖といえば、稚貝を海にまき、成長を待って収穫する方法が主流でした。しかし、海底で育ったホタテは砂を吸い込むため、砂抜きの手間がかかるなど生産性が低いのが悩みでした。そこで何とか砂を含まないホタテが出来ないものかと大船渡の漁師が考案したのが「耳吊り方式」です。ホタテ貝に小さな穴を開けて吊るす養殖法です。耳吊りは大変な作業ですが、この方式によって生産性が高く安定した水揚げが可能になり、ホタテ漁は急激に発展していきました。現在は、この耳吊り方式は北海道にも行き渡るようになりました。
 
ホタテの旬は冬と言われますが、三陸では、通年穫れる水産物として、重宝されています。
 

ホタテ2
ホタテ3
ホタテ耳吊り方式

 
■主な産地/三陸沖
■水揚げ最盛期/冬~春
■生態と特徴
カキ目イタヤガイ科ホタテガイ属の二枚貝で、東北地方からオホーツク海にかけての水深10~30mに生息しています。「ホタテガイ(帆立貝)」という和名は、この貝が移動する際に片方の貝殻を帆のように立てると考えられていたことに由来するそう。海底に形成される砂底などに生息し、褐色で平らな左殻を上に、黄白色で窪みのある右殻を下にして、殻が開く原縁側を潮が流れてくる方向に向けているのが特徴です。殻を激しく開閉することによって海水を噴射し、その反動で泳いでヒトデなどの外敵から逃げます。この動きの際に、最も重要な働きをするのが食用される貝柱です。
産卵期は4月頃で、放卵、放精により受精し、幼生となり約30~40日間浮遊した後、海藻やロープなどに付着します。この習性を利用して付着期に採苗器を海中に入れ稚貝を採り、これを約2年間養殖して10cm以上の大きさに育てて販売します。
ホタテガイは日本国内の養殖貝の生産高ナンバーワンであり、今や通年でいつでも食べられます。栄養分についても、養殖時に特別な餌を与えるわけではなく、海中の天然成分を摂取して育つため、季節による味の差はほとんど出ません。そのため旬が設定しづらい貝ではありますが、三陸では冬~春が旬とされています。寒流と暖流がぶつかり合う三陸沖の海が育むホタテガイは、より一層甘みが強い特徴があります。
 また、岩手三陸の若手ホタテ養殖漁師が企画・販売するブランド貝が、活ホタテ「恋し浜」。大船渡市三陸町の越喜来(おきらい)湾で綾里(りょうり)地区小石浜青年部が企画した地域ブランドです。生産・流通の履歴を追跡確認できるトレーサビリティシステムを導入し、出荷される「恋し浜」のパッケージには、県漁連発行の安全確認証紙が添付されています。
 貝柱のほか、ヒモや生殖巣も丸ごと食べることができ、クセのない淡白な味わいでありながら、加熱するとダシが出る貝でもあります。
 
■ホタテガイは、刺身などでの生食はもちろん、焼いても似てもおいしく食べられる貝。生殖巣は大きく成長して旨みを増す2~3月が食べごろです。また、野菜などほかの食材とも合わせやすく、和えものや炒め物にも重宝する貝です。
 
 

ホタテ刺身

ホタテ刺身
生でいただくホタテは、甘みとその歯ごたえがたまりません。
ホタテは栄養素を豊富に含む食材のひとつ。生ゆえにその栄養価も生かせるというもの。
ホタテ焼き

ホタテ焼き
平らで黒い方が表。丸みがある方が裏。貝が開いたら裏返し、お好みの加減まで焼きます。そのままでも甘く、醤油やバターを加えると濃厚に。
ホタテのアヒージョ

ホタテのアヒージョ
アヒージョはスペイン語で「ニンニク風味」のこと。
オリーブオイルとニンニク、そして鷹の爪を入れてこげないようにで煮込みます。堅くなるので、ホタテには火を通し過ぎないように。

いわて 里山食物暦【山食物】山ぶどう

 

海からの冷風、山背で育つ 北の葡萄

山ぶどうは、野生天然の葡萄で、北海道、東北の北部の山の奥に自生しています。自生地は笹や雑木が混み合った、人をあまり寄せ付けないような場所が多く 採取は困難です。独特の酸味が特徴です。
 
岩手県は、全国一の山ぶどうの生産量を誇ります。山ぶどうの栽培は、天然の良質な山葡萄を選抜し、苗木を育てます。山の緩斜面に、垣根のように実をつけたぶどうの木を並べます。ぶどう棚はなく、支柱を立て、間隔をあけて栽培しているので、日当たりがよく風も通ります。
支柱には横に誘導線が張ってあり、上部3分の2ほどのところにツルが絡むようになっています。
 
山ぶどうは、山の空気・水・土、初夏には太平洋からの涼風「やませ(山背)」によって熟成していきます。9月下旬から10月にかけて山ぶどうが旬を迎えます。糖度を15%以上に高めて収穫される熟成した山ぶどうは非常に色の濃い果実となります。
 
山ぶどうは地元ではおなじみの秋の味覚で、家庭では、ジュースにすることが多いとか。小さな粒をつぶし、布でこしてつくるそうです。何も加えず、手間をかけてつくる天然果汁100%のジュースは美しい紫色。口にすると、さわやかな甘さと酸味、そして少しの渋みが広がります。
加工品とはジュース、ジャムなどがポピュラーです。最近はワインもつくられています。
さらに、鉄、ポリフェノール、カルシウムなどの栄養素の抽出により健康食品として開発が進められています。
その他の利用法として、山ぶどうの果汁の絞りかすを堆肥として利用したり、蔓を使った篭細工などの工芸品にも使われます。

 

山ぶどう2

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