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いわて 里山食物暦【さかな】ホタテ
 

大船渡発 ふわふわと海に揺れる耳吊り方式のホタテ漁

小石浜、恋し浜のホタテ漁は夜中の1時、港から船は出漁。30分ほどの距離の湾内で船の灯りを頼りに大船渡発信の「耳吊り方式」のホタテ漁が始まります。1000本のロープを下ろしているそうで、そのうちの1本を引き上げます。沢山のホタテがついています。船上でホタテについたムール貝などをナイフでガシガシと剥いで行きます。船には、そのガシガシという音に、エンジンの音とラジオの深夜放送が混ざって聞こえてきます。一晩、約3時間半ほどでおよそ200キログラム、800から1000枚ほどのホタテを取るそうです。
小石浜の湾は水深が40メートルもあり、ホタテ漁に向いているそうです。
 
4時。港でお母さんたちが待っています。船からホタテのカゴを運びます。ホタテの出荷まで2時間。急いでホタテの表面についた付着物を除く作業に入ります。洗浄機では落としきれないものは1個づつ手作業できれいにしていきます。ようやくホタテの出荷に間に合いました。
 
ホタテは冷水性の貝で、海水温5度~20度が生息に適しています。日本近海では東北から北海道にかけた冷たい海で生息しています。かつてホタテの養殖といえば、稚貝を海にまき、成長を待って収穫する方法が主流でした。しかし、海底で育ったホタテは砂を吸い込むため、砂抜きの手間がかかるなど生産性が低いのが悩みでした。そこで何とか砂を含まないホタテが出来ないものかと大船渡の漁師が考案したのが「耳吊り方式」です。ホタテ貝に小さな穴を開けて吊るす養殖法です。耳吊りは大変な作業ですが、この方式によって生産性が高く安定した水揚げが可能になり、ホタテ漁は急激に発展していきました。現在は、この耳吊り方式は北海道にも行き渡るようになりました。
 
ホタテの旬は冬と言われますが、三陸では、通年穫れる水産物として、重宝されています。
 

ホタテ2
ホタテ3
ホタテ耳吊り方式

 
■主な産地/三陸沖
■水揚げ最盛期/冬~春
■生態と特徴
カキ目イタヤガイ科ホタテガイ属の二枚貝で、東北地方からオホーツク海にかけての水深10~30mに生息しています。「ホタテガイ(帆立貝)」という和名は、この貝が移動する際に片方の貝殻を帆のように立てると考えられていたことに由来するそう。海底に形成される砂底などに生息し、褐色で平らな左殻を上に、黄白色で窪みのある右殻を下にして、殻が開く原縁側を潮が流れてくる方向に向けているのが特徴です。殻を激しく開閉することによって海水を噴射し、その反動で泳いでヒトデなどの外敵から逃げます。この動きの際に、最も重要な働きをするのが食用される貝柱です。
産卵期は4月頃で、放卵、放精により受精し、幼生となり約30~40日間浮遊した後、海藻やロープなどに付着します。この習性を利用して付着期に採苗器を海中に入れ稚貝を採り、これを約2年間養殖して10cm以上の大きさに育てて販売します。
ホタテガイは日本国内の養殖貝の生産高ナンバーワンであり、今や通年でいつでも食べられます。栄養分についても、養殖時に特別な餌を与えるわけではなく、海中の天然成分を摂取して育つため、季節による味の差はほとんど出ません。そのため旬が設定しづらい貝ではありますが、三陸では冬~春が旬とされています。寒流と暖流がぶつかり合う三陸沖の海が育むホタテガイは、より一層甘みが強い特徴があります。
 また、岩手三陸の若手ホタテ養殖漁師が企画・販売するブランド貝が、活ホタテ「恋し浜」。大船渡市三陸町の越喜来(おきらい)湾で綾里(りょうり)地区小石浜青年部が企画した地域ブランドです。生産・流通の履歴を追跡確認できるトレーサビリティシステムを導入し、出荷される「恋し浜」のパッケージには、県漁連発行の安全確認証紙が添付されています。
 貝柱のほか、ヒモや生殖巣も丸ごと食べることができ、クセのない淡白な味わいでありながら、加熱するとダシが出る貝でもあります。
 
■ホタテガイは、刺身などでの生食はもちろん、焼いても似てもおいしく食べられる貝。生殖巣は大きく成長して旨みを増す2~3月が食べごろです。また、野菜などほかの食材とも合わせやすく、和えものや炒め物にも重宝する貝です。
 
 

ホタテ刺身

ホタテ刺身
生でいただくホタテは、甘みとその歯ごたえがたまりません。
ホタテは栄養素を豊富に含む食材のひとつ。生ゆえにその栄養価も生かせるというもの。
ホタテ焼き

ホタテ焼き
平らで黒い方が表。丸みがある方が裏。貝が開いたら裏返し、お好みの加減まで焼きます。そのままでも甘く、醤油やバターを加えると濃厚に。
ホタテのアヒージョ

ホタテのアヒージョ
アヒージョはスペイン語で「ニンニク風味」のこと。
オリーブオイルとニンニク、そして鷹の爪を入れてこげないようにで煮込みます。堅くなるので、ホタテには火を通し過ぎないように。
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