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三陸の黒いダイヤは 小粒でも深い味わい

アワビと言えば、旬は夏と思いきや三陸のエゾアワビエゾの旬は冬です。
三陸では、ウニと同様に、開口日(かいこうび)と呼ばれる漁が解禁される日が、決められており11月からの冬の期間までの6回~8回程度と限られています。また、海の状況が悪いとせっかくの開口でも水揚げできません。漁師は箱めがねで海底をのぞき込んで、アワビカギという数メートルの竹の棒で海底の岩についているアワビを一つひとつ海底からはがして、すくいあげるように取っていきます
クロアワビに比べると小粒ですが、何と言っても昆布と若布が主食のエゾアワビは磯の香りと濃厚なコクがあります。

アワビ2

■主な産地
北三陸
■水揚げ最盛期
11~12月
■生態と特徴
アワビはミミガイ科の大型の巻貝の総称で、大型の種の名前がアワビ、小型の種の名前がトコブシといいます。殻の内側全体から層が付加されて厚くなってゆき、成長した殻は皿状で、長径が5~20cm、短径が3cm~17cm程度。日本では北海道南部から九州沿岸の干潮帯付近から水深20m程の岩礁に生息します。
アワビの殻の背面には数個の穴が並んでいて、これは吸いこんだ水や排泄物、卵や精子を放出するためのもの。日本産については殻に空いた孔の数で区別し、4~5個のものをアワビ、6~9個のものをトコブシとしています。
世界中で100種余りのアワビが知られていますが、日本沿岸に分布するのは9種ほどです。食用にされるものは「メガイアワビ」「クロアワビ」「マダカアワビ」「トコブシ」の4種で、三陸沖で揚がるものは「エゾアワビ」と呼ばれる小振りの品種。これは「クロアワビ」の北方型にあたります。産卵期は夏から秋で、産卵された卵はその後浮遊幼生となり3~4日間浮遊生活をしてから海底に沈着します。沈着した稚アワビは、1cm位までは岩に付着している水ゴケ(けい藻)を食べて大きくなりますが、その後は昆布やワカメなどの海藻類を食べるようになります。漁獲される9cm以上のアワビに生長するまでには5年もかかるため、禁漁期間や漁獲する大きさの制限、あるいはコンクリートブロックの投入などによる漁場づくりをして、増殖をはかっています。
昆布やワカメをたっぷりと食べて育ったアワビは、肉厚で旨味があり、他の品種より高値で取引されています。アワビは高級食材で、生で食すとコリコリとした歯ざわりが特徴。寿司ネタとしてもポピュラーで、身だけでなく肝を珍味として食べる地方も多くあります。

■刺身や寿司ネタ、活アワビとして提供されるほか、水貝、酒蒸し、ステーキ、吸い物などに調理されます。とろりとしたアワビの肝(=としろ)は貴重な珍味で、レモン汁をかけるなどして食されるほか、塩辛や塩漬けなどにも加工されます。

 

エゾアワビのステーキ

エゾアワビのステーキ
締まった身がはじける様に鉄板に踊ります。アワビの肝をソースにしました。磯の香りが漂ってくるようです。
エゾアワビの刺身

エゾアワビの刺身
深く濃厚な味わいがエゾアワビの特徴です。宮古の塩と三陸のわかめを付け合わせにして召し上がれ。
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