山の急斜面に育つ 畑わさび生産は重労働
日本で一番の生産量を誇る岩泉の畑わさび。9月上旬の収穫時に山を訪れました。岩泉の畑わさびは、山間の急斜面、鬱蒼とした林の中でつくられています。木々の間は、わさびの丸く大きな葉で埋め尽くされていて、緑のカーペットを敷いたようです。
急斜面での収穫作業は、重労働です。お父さんが腰をかがめて、フォークのような道具で根っこから掘り起こすようにして一株ずつ丁寧に、手早くとっていきます。一株は3㎏ほどとのこと。腰に蚊取り線香をぶらさげたお母さんが根についた土を、葉の部分を切り落として、茎をきれいに揃えて束ねていきます。足場が悪いところですが、夫婦で手際よく作業が行われています。収穫したわさびは作業台車に乗せて山からおろし、軽トラックで作業場に運びます。
作業場に運ばれたわさびは、ヒゲ根を削り落とし、沢の水が引かれた水場で土をきれいに洗い流します。洗ったわさびは、屋根のあるところで根を上にして、並べて乾かします。
わさびは20㎏ずつ決められた集荷コンテナにまとめて、毎朝加工場に出荷されます。
畑わさびは4月下旬に花を咲かせます。これは「花芽わさび」として、生のままや醤油漬けにしたものが、スーパーなどに並びます。
本格的な収穫時期は6月半ばから9月半ば。1年ものと2年ものがあり、大きさがちがいます。
岩泉の畑わさびは、主に茎を利用し、ほとんどが練りわさびの原料となります。
一般的な練りわさびは、西洋わさび(ホースラディッシュ)を使っているので、ツーンと鼻につく辛さが特徴ですが、畑わさび100%の練りわさびはほのかな甘みとさわやかな風味があり、ステーキなど肉料理にもよく合います。