おむすび45 原田良一シェフ

投稿日:2014年2月26日 投稿者:sot

 

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ソウル オブ 東北

チーム おむすび 第45回料理教室開催   2014.2.26

第45回のチームおむすびは、宮城県気仙沼市の被災者が暮らす、岩手県一関市千厩町の旧千厩中学校仮説住宅に  レストランあさひや(同町)の原田良一オーナーシェフと共に伺いました。

 

 

 

■開催概要

 

1.開催日時 :2014年2月26日(土)11時00分~

 

2.開催場所:岩手県一関市千厩町・旧千厩中学校跡地仮設住宅集会所

 

3.震災から3年目を迎えるにあたり「親子三代」で愛情いっぱいの料理教室

 

4講師:レストランあさひや

原田ふよ子さん(シェフのお母様)

原田良一オーナーシェフ

原田良太さん(三代目の息子さん)

 

5.主催:ソウルオブ東北

 

6.協賛:キッコーマン株式会社

 

 

今回訪問した千厩仮設住宅は、原田シェフを講師としてお迎えするのは三回目でしたが、原田シェフの地元であることから仮設住宅の皆さんと顔馴染みです。 会場では、今日の日を心待ちにしていた参加者の輪の中に原田シェフもすぐ溶け込んでいました。

 

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原田家三代料理人による『愛情とまごころ料理』

「震災発生から三年が近づく中、皆さんいろいろな気持ちがあると思うが、料理を通じて少しでも元気になってもらいたい。改めて『人の絆』を感じてほしい」という想いから、原田シェフの母ふよこさん(86)と長男の良太さん(31)も講師として参加されました。

原田シェフが営む『レストランあさひや』は、先代の父母が昭和29年から経営してきた食堂を、原田シェフが引き継ぎ、三代目として息子さんが次なる1歩を歩みだしています。 原田シェフご自身も「母も今こうして元気でいてくれて、三代目として息子が継いでくれている。ここまで来れたことに本当に感謝しています。」とお話しされていました。

 

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懐かしの『おから料理』『あざら』に年配の住民も大喜び

「おからは昔ごちそうだったのよ」と昔懐かしい思い出を、参加者とふよこさんがお話ししながら料理教室は進んでいきました。 「味付けは一度で付けず、加減をみながら入れると良いですよ。」と助言をいただきます。 味付けの仕上げに、原田家秘伝のたれを少し加え完成です。秘伝のたれは親子丼のたれのように甘じょっぱくどこか懐かしくコクがありました。興味津々の事務局スタッフに「これはね、内緒なんだけど、お料理の仕上げに少し加えるとぐっと深みが増すのよ。」とふよ子さんがこっそり教えてくださいました。

 

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今回特別に、ふよこさんお手製のあざらも振る舞われました。 『あざら』とは、白菜の酢漬けに酒粕、魚を加えた気仙沼の郷土料理で、どの家庭でも作られていたそうです。震災後は、「漬物の保管場所がない」、「仮設住宅なのでにおいが気になる」といった理由からここ数年は食卓から姿を消していましたが、今でも慣れ親しんだ懐かしの味を求める方も多く、中には片道1時間かけて気仙沼の販売所まで買いに行く方がいるようです。住民の皆さんが笑顔でお頬張る姿を見て、地元の人々に愛され続けているソウルフードだということをしみじみ感じました。「久しぶりのあざらは美味しかった」との声にふよこさんも笑みがこぼれます。 ちなみに、「あざら」の語源となったのは「あじゃら」=「乱暴に扱わず、丁寧に扱う」という意味から、「漬かりすぎてしまった漬物でも丁寧に手をかけてあげることでおいしい料理に変わる」という地元の方の知恵、メッセージが込められている逸品なのです。

 

 

 

 

同じ釜の飯を食い、芽生える共同体意識

「寒い時期に鍋を囲んで皆で食べるように、今回は大皿で【あつあつかんたんお芋と鱈のグラタン】を作り、寒い日にこそ皆で熱々の料理を囲んで食べてもらいたい」、と料理に込めた想いを原田シェフがお話しされていました。

 

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最近は家族ですらあまりみんなで食卓を囲むということがなくなってしまったとも聞きますが、「同じ釜の飯を食う」という慣用句もあるように、一緒に食卓を囲むというのは互いの距離を縮め、仲を深めるための近道です。共に暮らし、苦しいことや楽しいことを共に感じて毎日を一緒に過ごす『家族のような関係』、『共に頑張っていこう!という共同体』のような気持ちになるので不思議なものです。

参加者も原田シェフの一言一言にうなずき原田シェフの思いを真摯に受け止めているように感じました。

 

 

 

 

三代目の技が光るキラメキデザート

最後に、良太さんのデザートです。ブラマンジェ(古フランス語でblanc=白い、 mangier=食べ物という意)で「外に積もる雪」、たっぷりの苺ソース、飴細工、金粉を手際よくトッピングしていき、『明るい未来に願いを込め』キラメキをワンプレートで表現されていました。 三代目を担う、良太さんの技が光る逸品に、皆さんも感動されていました。

 

 

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テーブルをひと続きにし、出来たての熱々グラタンを取り囲むようにし食事をし、皆でひとつの鍋を囲むことで、皆の気持ちがひとつになったような温かい気持ちになりました。 「あざら」、「おから」、「グラタン」というまたとないワンプレート、お楽しみのデザートには今回特別に仕立てた「キラメキブラマンジェ」、どの料理にも愛情と真心がたっぷり詰まっていて、原田シェフご自身も並んだ料理を前に喜びを感じる瞬間でした。

 

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今回、親子三代で協力し合うシェフの姿は、共同体のような絆も感じられました。 震災から三度目の春を迎えようとしている中で、原田シェフのエールを胸に刻み、私どももたすきを次世代につなぐ日々を大事に過ごしていきたいものです。

 

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■気仙沼のソウルフード『あざら』

 

ここで少し、気仙沼の郷土料理『あざら』のご紹介をしたいと思います。

 

その発祥は、春頃に白菜の処理に困った家庭で考案されたという説や、旧正月に各家庭の残り物を煮て食べていたのがはじまりという説があります。

ご家庭によってもざまざまですが、レシピの一例をご紹介します。

 

《用意するもの》

◆白菜漬け(酸味の出てきたもの) 1個~2個

◆酒粕              500g~1kg

◆メヌケのあら          500g~1kg

(キンキ・赤魚・メカジキのあらでも OK)

1.白菜の古漬けを軽く絞って、食べやすい大きさに切ります。

2.鍋にメヌケのあら(シーチキン、または鯖の水煮缶でも良い)と白菜の古漬けを入れ、具材がかぶる程度の水を入れて煮ます。

3.煮詰まってきたら酒粕を入れます。

4.混ぜながらさらにとろ火で煮込んで出来上がりです。 ※白菜の塩加減を見ながら、お好みでしょう油や味噌を少し加えるとコクが出ます!

 

出来立ての温かいうちでも、冷めても美味しくいただけます。

 

ちなみに、ここで使用する「メヌケ」とは・・・

フサカサゴ科の海水魚のうち、体の色が赤い大型種の総称。 (アコウダイ、オオガサ、バラメヌケなど) 深海の岩礁に住んでおり、水揚げすると水圧の急変で目が飛び出してしまうことから「目抜け」とよばれているようです。

 

魚の旨みと酒粕の優しい甘み、そしてなんとも深い味わいで、忘れられない郷土料理のひとつになりました。 酒粕が入っているので、寒い季節には体もぽかぽか温まる、気仙沼のソウルフード『あざら』。

是非、機会があればみなさんも一度お試しください。

 

 

 

 

 

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