水産加工場聞き取りまとめ

投稿日:2016年3月10日 投稿者:sot

3月18日(金)の「働きやすい加工所づくり」セミナーに向けて、水産加工場3社に話を伺ってきました。

人手不足を補うため三者三様の工夫を行っていました。

こちらで一部ご紹介したいと思います。

 

 

◇釜石市T社

従業員は約170名程度の中規模加工場です。

震災後社長が奮闘し事業は回復しましたが、今度は人手が足りず、受注した商品を納期内に収めることで精一杯になっています。

人手不足が経営不振を招き、従業員も疲労状態で働いています。

そこで、今働いてくれる人を大切にしたいと社長は考えました。

改善のために行ったこと

①従業員一人ひとりと面談

②新しい機械を導入し、人手が必要な個所を減らす

③トヨタ式改善方法を取り入れた

結果、従業員一人ひとりと面談し、意見を聞いたものの社長が忙しくて反映してあげられない状態が続いています。しかしそれでも従業員の方からは話を聞いてもらえたという満足感が生まれました。

また、依然として人手不足は続いています。

釜石市の他の業種はどうなのかというと、実はどこもが人手不足です。

人口流出でまず働く人がいない状態です。飲食店の中には時給1000円にして募集をかけているところもあるくらいです。

 

 

◇釜石市K社

次に訪れたのは同じく釜石市のK社です。

こちらは震災後に岩手県内ではじめて起業しました。しかし起業であったために補助金を受けることができませんでした。社員は23名の小規模な加工場です。他では働きにくい人が働ける会社という印象を受けました。

改善のために行ったこと

①従業員が楽しく働けるようにBGMをかける(曜日別でJ-POP、演歌など)

②小さい子供がいる女性などでも働きやすいようにフレックス制度を導入

③引きこもりなどの就職困難者の受け入れ

④BtoBの会社でも、成果が目で見えるように、チェーン店の居酒屋やイオンに卸す

職業を選択するときになかなか水産加工場で働くという選択肢が出てこないのが現状です。

しかし、他の会社では働きにくい人を雇ってあげたいという社長の考えとうまくマッチした雇用ができているようです。

小さいお子さんがいる方は、子供が熱を出したら会社を休みたいものですが、会社全体がそれをわかっているので、休んだ人のフォローをお互いしているそうです。

この雇用方法が長期的に続けられるように仕組みを作ることが必要になってきますが、社長の釜石の復興のための熱意を感じました。

 

 

◇宮古市T社

最後に宮古市のT社で、従業員に対するヒアリングを行いました。

工場長からは従業員同士の仲が悪いこと、人間関係が原因で一度辞めた人を呼び戻したが、前と同じところでは働かせられないので離れた場所で働いてもらっていることに悩んでるという話を前もって聞きました。

改善のために行ったこと

①特に仲が悪い外注業者の休憩室に意見調書箱を設置

②人間関係が悪くなってしまった4名を離れた場所で作業させる

 

従業員の方からは、ルールの徹底がされていない、上司とのコミュニケーションが取れていないといった不満がでました。

また、残念なことに改善点②の意図が伝わっておらず、特別扱いしているように感じている方もいました。

従業員の方は受注した商品の発送が納期内に間に合わないのであれば土日に出勤しても良いから終わらせたいのに、残業や休日出勤をさせてくれないという意見もあり、従業員の方のプロ意識を感じました。

日給5800円にも関わらず、給料の面で不満はないとおっしゃていました。

工場長には、今回でた意見を伝え簡単に実践できる「工場長がしっかり挨拶する」ということをまずは行ってもらうことにしました。

 

今回調査した件を踏まえて18日のセミナーで講演を行いたいと思います。

少しでも興味を持たれた方はぜひ、ご来場ください。

 

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■日時:平成28年3月18日(金) 13時30分~16時

■会場:岩手県水産技術センター大会議室 (岩手県釜石市大字平田3-75-3 2階)

■主催:岩手県沿岸振興局

■問い合わせ:岩手県沿岸広域振興局水産部水産調整課(担当:高田様、野澤様)

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