田野畑村レポート

投稿日:2015年8月28日 投稿者:sot

少し遅くなりましたが5月に行った岩手県田野畑村の詳細レポートをご紹介します。
田野畑は白亜紀の地層が隆起してできた断崖絶壁の海岸、北山崎が有名です。三陸リアスとことなり、隆起海岸なので、そのダイナミックさは圧巻です。
朝早く北山崎に行きました。うっすらと朝日の赤みをおびた北山崎は、壮大なロマンを掻き立てます。
役場の方に案内され北山崎を巡るサッパ船に乗ります。サッパ船は笹舟から来た言葉なのでしょうか。小さな漁師さんの釣り船のことです。北山崎には自然がつくった洞穴が沢山あります。ひんやりとした洞穴は、イタリアの青の洞窟のように青い光が海の底に届くかと思うほど透明で、深く差し込んでいます。
海岸線も歩きました。一体なんのために掘られたのかと思うほど不思議な崖を突っ切ったトンネルがあります。ひんやりと湿ったトンネルは真っ暗ですが、古代の壁をもつ博物館のようでした。
続/田野畑

 
次は田野畑の山菜の女王、シドケを探しにいきます。シドケはとても深い川沿いに生えているので、険しい崖を下らなければなりません。道のりは相当大変でしたが、シドケがたくさん採れました。これが山菜採りの醍醐味ですね。
早速シドケを塩ゆでして、おひたしにして食べます。蕗に似た苦みと香り、、とても美味しいです。この苦みとえぐみのような味覚が、春の森の力なのです。
いただいた田野畑の黒文字茶も飲んでみます。これもすっとした味わいがとてもおいしいです。田野畑の森は宝づくしでした。
シドケ採り

シェフと山・里・海、産地連携プロジェクト8

投稿日:2013年10月7日 投稿者:sot


ソウル オブ 東北

シェフと山・里・海、産地連携プロジェクト 7
[シェフツアー]       2013.10.7

 

この企画(シェフと山・里・海、産地連携プロジェクトー 通称 ”シェフツアー” ) は、岩手県内で東日本大震災とそれに関連する損害を受けた農畜水産業に携わる生産者を支援し、岩手の生産物を知りシェフとの交流を深めるためのプロジェクトです。ツアーの第7回目は、東京から11名、青森、岩手県内から10名の料理人の皆さんと共に岩手県八幡平市を訪問しました。

 

■開催概要

 

1.開催名称   シェフと山・里・海、産地連携プロジェクト 7

 

2.開催日時   2013年10月7日(月曜日)

 

3.開催場所   岩手県八幡平市

 

4.主催     ソウル オブ 東北

 

5.協賛     岩手県農林水産部流通課  株式会社シュゼット

 

7.実施内容   生産地視察、懇親会、料理教室、意見交換会

 

7.参加者

 

[東京]

高良 康之:銀座レカン   増田 稔明:ル・デッサン

中西 貞人:スクレ・サレ  宮下  清志:ラミティエ

渡辺雄一郎:シャトーレストラン・ジョエル・ロブション

青木 健晃:ル・ボーズ   古屋 壮一:ルカンケ

小林 俊彦:仙水      松橋 ひらく:コッレベレート

末藤 隆博:ラ・カスケット 本多 哲也:リストランテ ホンダ

進藤 聡子:ポンピナール  加藤 清和:ラ・グラップ

[流通]

坂口 洋一:㈱太陽

[青森]

須田 忠幸:八戸プラザホテル   中野 大:八戸プラザホテル

 

[岩手]

狩野美紀雄:メトロポリタン盛岡    菊池 拓紀:メトロポリタン盛岡

駒場 利行:ロカーレ・アーシャ    中村 昌:ヌッフデュパプ

野中 恵介:岩泉        小石川 友樹:ラ・タヴェルナ

伊藤 勝康:ロレオール

敬称略 順不同

 

今回で7回目となったシェフツアーは、あいにくの小雨模様で始まりました。

本日の目的地は、岩手県民にとってはシンボリックな”ふるさとの山”岩手山のすそ野に広がる風光明媚な地域・八幡平市。農林水産業や畜産酪農業などが盛んな地域で、豊かな自然が育むさまざまな農産物・養植魚・食肉等の供給地帯でもあります。残念ながらその八幡平市も、震災後は福島第一原発事故に伴う風評被害の対象地域として例外ではなく、未だに深刻な問題を抱えているのです。また、先月16日には台風18号が県内を直撃したことで、田畑が浸水するなど、甚大な被害を被っています。

ルーデンス農場に到着しました。シェーバークロスブラウンという種類の茶色い鶏は、ケージ飼育ではなく、地面を自由に歩きまわり、土を掘り起こし、砂遊びや日光浴をさせながら平飼いで育てられます。「本来、食品というものは、安全性はもちろんのこと、食して元気の出るものでなければならない」という農場主・梶本さんご夫婦の信念のもと、餌はモミガラや・オカラ・トウモロコシ・米ぬかなど、できるだけ地場の食材を発酵させてから与え、地下50メートルから汲み上げる岩手山の伏流水を飲ませて育てた健康自慢の鶏たちです。その卵は”昔卵”と呼ばれ、黄身の色はレモンイエロー。黄身の色を濃くするための色素を含んだ特別な素材などはあえて加えていないため、色白の卵に仕上がるのだそうです。

シェフたちの興味は、やはり食材としてのハーブのようで、バナナミントの葉や食べられる花・ナスタチュームを早速口に含んで味わっていました。松橋シェフは、奥様からバターナッツというひょうたん型のカボチャをいただき、今日のメニューに登場させるようです。

 

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次に一行が訪れたのは、今回のメイン食材ともいえる八幡平サーモンを養殖している清水川養鱒場。水槽池を覗き込むと、体長数センチのかわいらしいニジマスの稚魚たちが群れ泳いでいました。大きさによっていくつもの池に分けて育てられる稚魚は、3年という時を経て身の引き締まった高品質のサーモンに成長するのだそうです。

近くには、「名水百選」に選ばれた金沢清水があり、毎分40tもの湧水を噴き上げています。年間を通じて低水温の、良質なこの水がなければおいしい魚は育たないとのこと。生産者・高橋清彦さん(愛さんのお父様)がこの地で魚を育てて40年余り。研究・改良を重ねたこだわりの餌と、徹底した品質管理の下に育て上げられた自慢のニジマスが、”八幡平サーモン”なのです。

 

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さて、いよいよ昼食・交流会会場のユウランド清水川に到着です。八幡平サーモンの生産者高橋さんご家族や、地元関係者の方々が出迎えてくださいました。

生産者の皆さんも続々合流。隣町岩手町からは田村孝美さんが根セロリを、盛岡・田村和大さんは人参持参で合流です。調理スペースは、屋根はかかっているものの、折り畳みテーブルを並べて設営したオープンキッチン。幸い、朝からの雨は止んで雲の切れ目からは青い空がのぞいています。色とりどりの食材や天然茸がテーブルに並べられたかと思うと、あっという間に取り分けられていく様は、さながら活気あふれるマルシェのようです。今日は、東京から参加の13名のシェフたちが、テーマ食材を使ってひとり1品以上のお料理を仕上げる予定。地元シェフや生産者の方々も、野菜洗いや下ごしらえのお手伝いでシェフたちをサポートします。

調理コーナーの一角では、伊藤シェフや八戸プラザホテル・須田シェフが八幡平サーモンや幻の魚・イトウ、そしてチョウザメをさばき始めました。八幡平サーモン独特の、赤みがかった濃い朱色が目に鮮やかです。この朱色は、アスタキサンチンという天然由来の色素を持つポリフェノールを豊富に含んでいるためで、抗酸化作用もあることから近年注目されています。チョウザメのおなかからは、キャビアが取り出され、参加者が興味津々で取り囲みます。料理教室を担当する宮下シェフも、定位置にスタンバイ。本日は、八幡平サーモンをそれぞれのバリエーションで使い分け、三品のお料理を披露してくださいます。料理教室がスタートすると、地元シェフ、生産者の方々が半円状に人垣をつくり、食い入るように真剣なまなざしでシェフの手元を見つめます。

 

1品目は、「サーモンと根セロリのレムラード」、2品目は「軽くスモークしたサーモンマリネの温かいジャガイモ添え」、3品目が「サーモンのエスカロップ オゼイユまたはバジル風味のソース」。宮下シェフは、八幡平サーモンの感想として、「輸入サーモンと比べて、驚くほど身に弾力があってやわらかく、全くクセがない」と高評価。見物の方たちは早速、あざやかな手際ででき上った3品を写真に収めていました。

そうこうするうち、辺りにはいい匂いが立ち込め、でき上がったお料理が次々に試食コーナーに運ばれます。シェフたちの渾身の一皿に、あちこちで歓声が上がっています。キッチンカーのオーブンで焼きあがったばかりの八幡平サーモンのパイ包み焼きを、銀座レカンの高良シェフが自ら取り分けてくださいます。その間にも、「バターを使っているのに、何でこんなに軽くてやさしい味なんですか」と率直な声が上がるなど、しばし参加者とシェフとの交流のひと時となりました。

「どれもおいしくて、どれが好きって言えない」、「はじめて食べる料理ばっかり」と、楽しんでいただけているようです。高橋さんのおばあちゃんは人参のエチュベを、こどもたちはトマトのパスタを何度もおかわりするほどお気に入りのようでした。

生産者のおひとりは、「手さぐりでつくっている農産物が、こうしてすごいごちそうになって、おいしいおいしいってみんなに食べてもらえると励みになる」とおっしゃっていました。

 

 

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シェフたちは、ここでしばし会場を離れ、八幡平市の酒造・「わしの尾」視察へ。文政十二年(1829年)創業という老舗の地酒『鷲の尾』は、別名「巌鷲山」とも呼ばれている地元の山・岩手山から命名されたものだそうです。早春の雪解けとともに山頂に大鷲が羽を広げたような残雪がくっきりと現れるところから、地元の人たちが親しみをこめてこの山を巌鷲山と呼ぶように、 岩手山の山麓からの湧水で醸造される「わしの尾」もまた、長年地元の人々に愛されている地酒なのでしょう。

高橋愛さんを囲んで、八幡平サーモンやキャビアの販路・売出し方についての意見交換となり、シェフたちからは、「このようなアピール力のある優良な食材は、国内に限定せず、世界を視野に発信するべきだ」とのアドバイスがありました。宴も終わり、一行がマイクロバスに乗り込む頃には、空には満天の星。都会と違って、ネオンも建物の灯りもない分、星のまたたきが鋭く感じられます。本当は、もっとゆっくりこの自然を、この土地をシェフたちに味わってほしい、という思いを残しつつ八幡平を後にしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

シェフと山・里・海、産地連携プロジェクト7

投稿日:2013年7月24日 投稿者:sot


ソウル オブ 東北

シェフと山・里・海、産地連携プロジェクト 6
[シェフツアー]       2013.7.24

 

この企画(シェフと山・里・海、産地連携プロジェクトー 通称 ”シェフツアー” ) は、岩手県内で東日本大震災とそれに関連する損害を受けた農畜水産業に携わる生産者を支援し、岩手の生産物を知りシェフとの交流を深めるためのプロジェクトです。ツアーの第6回目は、東京から6名、岩手県内からも4名の料理人の皆さんと岩手県宮古市の「田老町漁協組合」を訪問しました。

 

■開催概要

 

1.開催名称   シェフと山・里・海、産地連携プロジェクト 6

 

2.開催日時   2013年7月24日(水曜日)

 

3.開催場所   岩手県見宮古市

 

4.主催     ソウル オブ 東北

 

5.協賛     岩手県農林水産部流通課 岩手県沿岸広域振興局水産部   同宮古水産振興センター             株式会社アッシュ・セー・クレアシオン

6.協力     田老町漁業協同組合

7.実施内容   生産地視察、懇親会、料理教室、意見交換会

 

7.参加者

 

[東京]    高良 康之:銀座レカン  増田 稔明:ル・デッサン 中西 貞人:スクレ・サレ              神戸 勝彦:MASSA  松本 浩之:FEU          渡辺雄一郎:シャトーレストラン・ジョエル・ロブション

[流通]     坂口 洋一:㈱太陽

 

 

 

[岩手]     狩野美紀雄、菊池 拓紀:メトロポリタン盛岡   駒場 利行:ロカーレ・アーシャ       中村 昌:ヌッフデュパプ       伊藤 勝康:ロレオール

 

 

敬称略 順不同

 

 

 

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シェフツアー6の今回は田老町漁協を伺いました。

小雨の降るなか、組合長の小林さん、参事の前田さん、加工所長の鳥居さん、地元の料理人さん沢山の方があたかかく出迎えてくださいました。前田さんのご案内で昆布・わかめの一時処理見学をさせていただきました。わかめの選別では女性部の方々が大量の塩蔵わかめを前にして、絡まりを解いたり、芯の部分を抜いたりと細かい工程を手作業で行っておられました。

一連の加工見学後、皆で高さほど10メートルの防潮堤に登り、小林組合長から被災状況と現状の復旧についてお話を伺いました。田老漁協の930隻あった舟は震災で50隻までに減りましたが、去年の8月には全ての漁師さんに舟を配備する事ができたそうです。また、以前は100名くらいの方が働いていらっしゃったそうですが、仮設住宅から通うのが困難な方もおり、現在は60名くらいで稼働なさっているそうです。今後できるだけ早く公設の工場を建て、地元の雇用を増やしていきたいとお話くださいました。

 

 

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料理教室は定置番屋で行われました。今回はレストランMASSAの神戸シェフに田老の海藻パスタを教えて頂きました。細切りした昆布を使用し、トマトの赤、ウニの黄色が見た目も味も素晴らしい一品でした。今回はイタリアンですが、パスタをそうめんで、チーズをチクワで、トマトをきゅうりで代用していただいても大丈夫ですとアレンジをたくさん教えていただきました。「ミキサーで海藻を細かくするパスタソースの発想に驚きました。」(宮古水産高校)「実際にシェフが目の前で作って下さったので、分かりやすい料理教室でした。」(宮古水産高校)

最後にシェフより、「料理はいっぱい失敗して、食べる人の顔を想像することが一番です」と料理上達のアドバイスを頂きました。

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引き続き皆さんとシェフで真昆布の未利用部分の試食をしていただきました。今回は予め東京のシェフに真昆布の未利用部分を使用したレシピを考えて頂き、試作品を持って来て頂きました。

スクレ・サレの中西シェフは、南フランスのカプナードソースをアレンジして「根昆布のタプナード」を提案していただきました。昆布の根をニンニク、オリーブオイル、アンチョビなどとミキサーにかけてお作りになったそうです。根昆布はごわごわしたイメージでしたが、普通の昆布と遜色なく柔らかく、使いやすかったです。と感想をいただきました。

FEUの松本シェフは根昆布をミネラルウォーターに一晩つけて清涼飲料水と混ぜ、ライムを絞った「田老の昆布水ライム風味」を作っていただきました。調理場や建設現場の方、子供達にも最適な清涼飲料水を提案していただきました。参加者の皆様も松本シェフのレシピにはとても驚いておられた様子です。

 

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他にも様々は素晴らしい技術とアイディアを沢山ご提案いただき、カウンターに並んだ試作品を皆さんにご試食いただきました。

参加された皆さんからは「試作品はバライティがあり、とても良かったです。具体的に道の駅や新幹線での販売を考えて新しい作品があり良かったと思います。」       「西洋料理から和風まであり、海藻は日本人が食べていましたが、外国の方も食べやすく普及できる気がします。無駄なく使う事は本当に良い事だとおもいました」(宮古水産高校)「昆布といえばだし汁の材料、料理の副菜と脇役のイメージでしたが、工夫次第でフレンチやイタリアンの主役にもなる事を学ばせて頂きました。」など嬉しいお言葉を沢山頂きました。(宮古水産高校/教員)

 

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最後に東京、岩手、田老のシェフと漁協の職員、女性部の方々と意見交換会を行いました。

田老漁協の畑山さんには、改めて被災状況と復興状況を説明して頂き、わかめや昆布などが主役にならない事、ネットでの販売をどうにかして行きたい事、など具体的な今後課題について教えて頂きました。

株式会社太陽(流通)の坂口さんは、「もっと自分達が扱っている素材に自信を持って頂きたい。どれもすごくパワーをのある食材ですから」と励ましの言葉を頂きました。

シャトーレストラン・ジョエル・ロブションの渡辺シェフからは「今回の試作では一瞬でインスピレーションが湧きました。食材のランクは関係無く、まずはその土地でどのように食べているか?を聞きます。なぜなら、その食べ方が現存しているという事はそれが一番良い調理法なのだとおもいます。全国の道の駅で答えがでていますね」と今回の試作を通しての感想を頂きました。

銀座レカンの高良シェフより、「加工する時間を作るための貯蔵、保管する場所が無い。そこを確保する事が先決なのではないか?置き場所が無いから、捨てなきゃ行けないのでは先に進まないのでは。」とご意見を頂きました。

それぞれ立場や視点から田老漁協の素材、水産加工や商品開発についてとても充実した意見交換会となりました。

 

 

 

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