MISSION東北の未来価値創造
2011年3月11日 14時46分 東日本大震災勃発私たちは、何もわからないまま東北へ向った。
私たちができることはとても小さいが、少しづつ新しい東北の価値を昔からある東北のこころの中から見つけたい。
「ソウル オブ 東北」は、2011年3月11日におこった東日本大震災直後から「東北の食を守ろう」をスローガンに、甚大な被害を受けた東北を支援する活動を行ってきました。震災直後は、一人でも多くの方に食べ物を届けたい、温かな食事をしてもらいたいと数多くの避難所へと向かいました。そこで、私たちが出会ったものは、恐れと悲しみをこらえて尚、「ありがとう、ありがとう」と感謝の言葉をかけてくれる素晴らしい「東北のこころ」でした。
長い間、東北は東京や日本の都市のために、労働力や米、食料などの供給を続けてきてくれた地域です。東京をはじめ戦後日本の発展の為に下支えの役割をしてきました。ゆえに甚大な被害を受けた東北の復興のために全力を尽くすことは私たちの使命であると思います。
ソウルオブ東北は、東北の漁業、農業、畜産業などの生産者、加工場、そして被災をされた一般の方々を支援し、東北の食の可能性とその源を形成する風土、歴史を通じて東北の食文化の発展と郷土愛への創出を目的として活動しています。水産加工場のブランディング、商品開発、仮設住宅をまわるチームおむすびの料理教室、シェフたちによる山里海をめぐる生産者訪問ツアーなど食を軸とした活動となっています。2014年は、より東北の食の根幹を知るために東北は岩手の食物暦を作成しています。その生産地や生産者を訪ねるたびに丁寧な食への愛情を感じるのです。
この震災は、私たちの食のあり方について、自然との向き合い方について、幸福という価値の考え方について、多くのことを示唆してくれています。東北の復興活動を通じて、東北から学ぶ事が沢山あります。東北からこれからの日本の新しい価値観についても考えて行きたいと思っています。
2011年の3月から数ヶ月の緊急期、2012年の復旧期、そして2013年は復興期に入り、2014年からは、さらに復興から次の経済を発展させる発展期に入りました。建築の復旧や設備投資だけでなく、知恵や感性やモラルを必要とする大切な時期に入ってきました。本当に必要な支援とは何かを問いただす時期でもあります。支援の先にあるのは、東北のアイデンティティの確立です。それは、郷土愛に満ちた自然と共生する東北の本来の姿の中から生まれてくると思います。
2015年は、沿岸地域の嵩上げが整い新たしいまちつくりが本格的に始まります。
私たちは、これまで以上に東北の食と環境と文化を愛し、東北の新しい未来価値創造のために、東北と共に考え、共に育て、歩む、そんな活動をしたいと考えています。
ソウルオブ東北 理事長 岡部泉 プロフィール
活動にあたり
東日本再大震災大をきっかけに、支援活動ということを初めて行いました。最初はただ一生懸命温かい食べ物を運ぶという支援でした。しかし日本のインフラにおいての支援体制というものは大したもので、あっと言う間に電気が通り、給水設備も整いました。そして、善意の思いで沢山の方々が支援に訪れました。補助金や支援金で多くの人たちが救われました。しかし、本当の復興とは一体何だろうかといつも自問自答しています。2012年ころからは経済的な活性化が叫ばれ、善意だけではどうしようもない圧倒的な力をもったビジネスのプロの力が必要とされるようになりました。それは支援レベルの話ではなく、ビジネスとして行われるべき事業です。私たちは大きなビジネスを立ち上げることが本職ではありませんが、その経済活性のためにも、東北の価値にはこのようなものがあり、その価値をどのようにを認められるべきなのかを示唆していくことが、私たちの役目だと思っています。
東北の本来持っていた里山里海の暮らしにそのヒントを得て、人と自然と食をテーマに東北の価値を高めて行こうと思います。
- 多摩美術大学絵画科卒業
- 日本の伝統工芸の世界に魅せられ、その巧みな技術や意匠を学ぶ。卒業後は、日本文化の素晴らしさを表現するために、日本の地域が持つ「郷土力」をテーマにした旅館やレストランの企画、設計および老舗ブランドの商品開発など、様々な分野でアートディレクションおよびデザインを行う。2007年、2010年に、アメリカの料理大学C.I.Aに日本料理を伝えるイベントに参加し、日本の美意識について講義をする。
東日本大震災後に日本の原風景と独自の食文化を持つ東北を支援するためにソウルオブ東北を結成し、2012年12月12日にNPO法人の認可を得る。
-
アメリカ料理大学
C.I.Aのテキストとして
「日本料理のこころ」制作
2015年は、東北にとって大きな過渡期にあたる年ではないかと思っています。復旧から復興、そして育成期へとそれぞれの立場でその進度は異なります。沿岸地域では、2014年には、土を運ぶトラックが激しく行き交い嵩上げが進みました。その盛り上がる土の上にどんな暮らしが作られていくのでしょうか。子供たちや女性たちが生き生きと元気な姿で暮らせるまちであって欲しいと願います。「東北らしさ」を持つまちづくりこそが、観光の誘客を促し、人口流出に歯止めをかけ、経済を安定させ、雇用を生み出すことになるでしょう。その「東北らしさ」を導きだすきっかけとなる活動を2015年も引き続き行って行きます。
2015年は、大船渡の茶屋町第2ブロックと言われる地区のまちづくりのサポートが始まります。地域の歴史、風土、文化、そして地元住民のニーズを把握しながら大船渡の自然と共生する里海とは如何にあるべきなのか、また持続させるための経済をどうつくるのかを共に考えます。そのまちづくりブロックには、協同組合三陸パートナーズのマーケットと産直レストランも計画しています。
三陸パートナーズは、直販を目指してオンラインショップの強化と新しい商品開発、そして「海から食卓まで」をキーワードとし、生産者や漁師との連動をはかり生産者の見える商品を開発しようと思います。生産、企画、加工、販売までの六次化を組織的に行うことを新規事業とします。三陸パートナーズはさらに、まちづくりとともに地域の活性化を担う組合として成長していくことと思います。
2014年、里山里海の食物暦をつくるために岩手県の沿岸と内陸をまわり調査をしてきました。食物からその土地の歴史、人、文化、自然が見えました。食物はその土地の風土の形成に大きく関わっていることがわかりました。食物から見える風土を食風景と呼び、さらに深めていきたいと思います。
仮設住宅では、様々な理由から復興住宅への移行に踏み切れない方々が今だ多くいます。住む人がまばらになった仮設住宅は地区毎に統合されていくことになり、再びコミュニティを作り直さなければなりません。そこで、次は地区内でのコミュニティつくりのために公民館や学校などで料理教室や食育教室を行い、地区での交流を深める活動をしていこうと思っています。そして郷土の食を再度見直すことで食文化をつないでいきたいと思っています。
- ■名称
- 特定非営利活動法人 ソウル オブ 東北
- ■設立日
- 2012年12月12日
- ■事業項目
-
- 地域コミュニティづくり事業
- 文化向上のための教育事業
- 東北に関する資料収集、調査研究事業
- 東日本大震災に関わる事項の研究検証事業
- 東北に関する情報の編集、制作、発信に関わる事業
- 東北をテーマとした産業振興事業とそれに伴う商品開発事業
- 観光の企画立案事業
- ■役員
-
- 理事長岡部 泉
- 理事伊藤 勝康
- 理事力石 寛夫
- 理事熊谷 喜八
- 理事石黒 幸一郎
- 理事高梨 和良
- 監事小飯田 浩伸
- ■住所
-
- 〒151-0063東京都渋谷区富ヶ谷1-42-3
- TEL 03-5452-1139 / FAX 03-5452-1198
- MAIL: info@souloftohoku.org http://www.souloftohoku.org/