おむすび49 小野塚武男先生
投稿日:2014年4月29日 投稿者:sot
ソウル オブ 東北
チーム おむすび 第49回料理教室開催 2014.4.29
第49回のチームおむすびは陸前高田市にある西風道和野会館に、郷土料理レストラン「はずみ」の小野塚武男先生とお伺いしました。
こちらの会場は前回の料理教室の日に大雪に見舞われるというハプニングがありましたが、今回は暖かな春の日差しの中での開催となりました
■開催概要
1.開催日時:2014年4月29日(火曜日)11時〜
2.開催場所:和野会館(岩手県陸前高田市)
3.メニュー:春キャベツを使った回鍋肉、家庭で作れる本格派天津飯
4.講師:郷土料理レストラン「はずみ」総料理長 小野塚武男先生
5.主催:ソウルオブ東北
6.協賛:キッコーマン株式会社
今回は西風道・和野・和方団地の3仮設合同での料理教室です。会場となった和野会館は山の斜面の一番上にある集会所です。他の仮設住宅のように広い土地に大勢が住んでいるのではなく、ちょっとずつ斜面の空いたスペースに仮設住宅が建てられたため3仮設合わせての世帯数が約60世帯という小規模なものになりました。
今回の会場は世帯数は少ないのですが、参加人数は多く、なんと18名の方が集まりました。
中には背中に赤ちゃんを背負ったお母さんの姿もありました。
開始時間が近づくと、和野会館までの坂道をお年寄りの方や足の悪い方がゆっくりと登ってきます。
みんながそろったのを確認し、料理教室スタートです。
今回のメニューは【春キャベツを使った回鍋肉】【家庭で作れる本格派天津飯】です。
はじめに【春キャベツを使った回鍋肉】にとりかかります。
旬の春キャベツは包丁で切るのではなく、手でちぎります。アシスタントとして参加して下さった「和食処どっと」の斉藤先生からはキャベツの芯は包丁を横に持って上から押すように潰すと火の通りが早くなることを教わりました。
肉と野菜を手早く炒め、一旦皿に取り出します。
回鍋肉の豚肉と野菜を炒めたところで、【本格派天津飯】に移ります。
千切りにした野菜にカニ缶と卵を加え、手で混ぜ合わせます。手で混ぜることでより味が馴染むそうです。
中華は炒めだすと作業をする時間がなくなるので、この間に調味料も全部混ぜ合わせます。
今回は調味料を前もって量らずに、小野塚先生が参加者の方の前でどのくらいの割合で調味料を混ぜるか教えて下さいました。
しかしその際、計量スプーンなんてものは使いません。手元のお玉に調味料を入れながらだいたいこのくらいとざっくり教えます。
一見分かりにくいかと思いきや、この量り方が好評で、参加者の方はだいたいの割合をメモしながら、これなら自分の家でも同じようにできそうだと喜んでいました。
先ほどの回鍋肉の肉と野菜を炒めたものに味付けし、ニンニク、ショウガと一緒に再度炒めます。
これで回鍋肉が完成しました。
そのまま今度は天津飯を焼いていきます。焼いたものはご飯の上にのせ、最後にあつあつのあんをかければ天津飯も完成です。
料理が冷めないうちに早速試食に入ります。
「美味しい!」という声があちらこちらから聞こえ、ボリューム満点のメニューでも完食した方が多数いらっしゃいました。食べ切れなかった方も、丁寧にラップに包んで持ち帰りました。
試食の際感激したことがありました。料理を作った班ごとにテーブルを囲んでいたのですが、複数のテーブルの方から一緒に食べようとスタッフに声をかけてもらいました。会場にいる全ての人を輪に入れようとする心遣いに嬉しくなりました。
料理教室が終わると、皆さんが坂を下って帰っていきます。
和野会館から一人ひとりをお見送りし、今回の料理教室は終了しました。
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おむすび料理・食育教室
- 投稿日:2014年4月29日
おむすび48 斉藤貢先生
投稿日:2014年4月24日 投稿者:sot
ソウル オブ 東北
チーム おむすび 第48回料理教室開催 2014.4.24
第48回のチームおむすびは、 宮城県気仙沼市の被災者が暮らす、岩手県一関市千厩町の旧千厩中学校仮設住宅に和食処どっと(一関市内)の斉藤貢店主と共に伺いました。天候にも恵まれ18名の方々に参加していただきました。
■開催概要
1.開催日時 :2014年4月24日(月)11時00分~
2.開催場所:旧千厩中学校跡地仮設住宅集会所
3.メニュー:旬の食材を使った天ぷら~ご飯と古代米を練りこんだうどんと共に~
4講師:和食処どっと 斉藤貢先生
5.主催:ソウルオブ東北
6.協賛:キッコーマン株式会社
今回の会場の旧千厩中学校跡地仮設住宅は何度かお邪魔しており、そこで以前「仮設住宅で暮らすようになってから揚げ物は作りもしないし食べてもないなぁ」という声を聞きました。それもキッチンが狭く限られたスペースのため、揚げ終わった油の保管場所や始末に困ることや油の匂いが部屋に充満してしまうことで、敬遠されていたのです。そんなことから久しぶりに揚げ物を揚げてもらおうと少ない油でできる方法を斉藤先生が伝授して下さいました。
今回天ぷらにする山菜は、斉藤先生が自ら採ってきてくださいました。山からはふきのとう、里からは菜花と行者にんにく、海からは鱸(スズキ)と美味しそうな食材が並びます。まずは下準備でエビの殻をむきます。料理教室には現役の主婦の方がたくさんいらっしゃるので、手慣れた様子で準備を進めていました。
最後に作るかき揚げ用の食材も切り、早速揚げる作業に入りました。少ない油で作るために、フライパンを使って揚げていきます。途中、油がはねてきましたが、お互いに声を掛け合い、材料を油に入れる時はみんなで構える体勢をとるなど、楽しんで作っている様子でした。
今回は、作った天ぷらをどう盛り付けるかでメニューが変わります。天ぷら定食にしたり、天丼にしたり、古代米を使ったうどんで天ぷらうどんにしたり、さまざまな食べ方で楽しみます。ごはん茶碗は皆さんに持参していただきました。
天ぷらの中で一番人気だったのがふきのとうです。ふきのとうは花の部分は苦くくせが強い山菜ですが、今回使ったものは雪のある場所から採ってきたためか色も白っぽく、くせもあまりなく本当に美味しかったと好評でした。エビは身の部分だけではなく頭まで揚げ、凝縮した味を楽しめました。先生から指示はなかったのですが、剥いた殻も揚げた方がいらっしゃいました。殻はおつまみにちょうどよく、細かくすればふりかけにも使えるそうです。残ったうどんのつゆなどは参加者の方がそれぞれ持ち帰り、余った物はほとんどありませんでした。食材を無駄にしない気持ちを皆さんが持ってくださり、心温まる料理教室となりました。
■おむすび料理教室を終えて
今回の料理教室を通して、岩手の方のふるさと再建への想いを強く感じました。
実は料理教室で使った山菜は、今の時期はちょうど採れないものでした。採れる時期が終わってしまったか、まだ育っていないというちょうど中間の時期だったのです。しかし、斉藤先生は自ら秋田県との県境の雪が残っている地域まで行き、今回のふきのとうを採ってきて下さいました。また、料理教室中には、近くの千厩にお店を出している原田シェフが営業中にもかかわらず顔を出してくださるなど、たくさんの人の想いに支えられておむすび料理教室が成り立っていることを感じました。ふるさと再建へ向けて私たちチームおむすびも邁進していきたいと思います。
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カテゴリー:
おむすび料理・食育教室
- 投稿日:2014年4月24日
おむすび47 金今一三先生
投稿日:2014年4月23日 投稿者:sot
ソウル オブ 東北
チーム おむすび 第47回料理教室開催 2014.4.23
第47回のチームおむすびは、宮城県気仙沼市内の被災者が暮らす、気仙沼市総合体育館仮設住宅にそば処かも川(一関市千厩町)の金今一三(かねこんかつみ)店主と共に伺いました。
今会場は三回目の訪問。浜風が少し冷たいですが天候にはめぐまれ前回より一人多い7名の方々にお集まりいただきました。
■開催概要
1.開催日時 :2014年4月23日(月)11時00分~
2.開催場所:気仙沼総合体育館駐車場仮設住宅
3.メニュー:そば打ち体験「ざるそば」
4講師:そば処かも川 金今一三先生
5.主催:ソウルオブ東北
6.協賛:キッコーマン株式会社
今回の会場は、国体でも使用される総合体育館の駐車場わきの空きスペースに建てられた仮設住宅で12棟89世帯が暮らしています。料理教室の会場となった集会所は仮設住宅を建ててから、残った一番奥のスペースに後から建設されたため、中規模の仮設住宅にしては小さい集会場で、16畳一部屋にまな板を置くスペースもない小さなキッチンが付いています。収納場所もないため荷物は壁際に積んであります。広さは20人入るのがやっと。日もあたりにくい場所で一番遠い棟からは100メートル以上はなれていて、年配の方は利用しにくいようでした。
しかし、少しでも快適に料理教室を出来る様にと、皆で物資や荷物を外に出し、集会所を片付け、準備万端。いよいよ料理教室の開催です。
今回は【そば打ち】です。
普段そばを打っているところを見るのはTVくらいで、生で見る機会もないので是非一度体験してみたいとリクエストいただき、開催に至りました。初心者の方でも出来るようにと、そば粉7:小麦粉3の割合で作りました。
最初にボウルの中でそば粉と小麦粉を混ぜ合わせ、そこに水を少しずつ加えながらこねていきます。「水を入れすぎると修正が難しいので少しずつですよ!」と先生からアドバイスをいただくも、すでに入れすぎて悪戦苦闘する人も・・・。四苦八苦しながらも会話が弾み、生地が耳たぶくらいの硬さになりました。
その次は生地を伸していきます。生地をボール状に丸くし、テーブルの上に置き、真上から腕をまっすぐにし手のひらで潰すように押し広げていきます。ある程度まで薄くなったら、今度はのし棒を使い2~3mmの厚さになるまで伸していきます。
伸し終えたら、生地を三つ折りにし、あて板を使いながら切っていきます。太さを一定にするのも難しく個性豊かな麺が出来上がりました。
次は出来上がった麺を茹で上げます。本来は流水で茹で上がった麺を洗い冷やしたいところですがキッチンが狭いため、氷水を溜めたボウルをいくつか用意し、皆で協力しながら、順番に流れ作業のように洗い冷やしました。
冷やした麺をザルに盛り付け、お楽しみの試食会です。個性豊かな太さのつやつやとした愛情が感じられるとてもおいしいそばに、会話も弾みます。「そば打ちって良い運動になるね。肩こり解消に良いかもね。」「昔、子供のころそばの栽培を手伝わされた思い出があるな~。」「祖父母がそばを打っていたのを思い出した。」など、ふるさとを感じさせるエピソードも出ました。
その隣では「までに、までに」とそばの切り端までとり食べていた方もいらっしゃいました。「までに」とは「丁寧に」とか「大事に」という意味の方言で、そば打ちを教えてくれた先生への感謝の気持ちや皆で打ったという思い、そして食べ物への感謝の気持ちが伝わってくる言葉です。
気仙沼市では、震災から3年が経った今、自立への支援へシフトしていて、炊き出しのようなイベントや見るだけのイベント、物資の提供は断っているそうです。そのため人の集まる機会が益々少なくなり、地域のコミュニティが崩れてきています。今後は今まで以上に、料理教室のような参加型イベントが必要だと、またの開催を要望され会場をあとにしました。
料理教室が終わった夜、及川会長からお電話がありました。我々が帰った後、歌のボランティアの方がいらっしゃったので残っていたそばを茹でて食べさせたそうです。その方は皆が打ったそばを、おいしいと喜んで食べてくれたとのことでした。今回のそば打ちで料理を作る楽しみ、食べてもらう嬉しさ、そして会話が弾む楽しさを改めて感じたそうです。
■東北の食を守ろう ~そば文化~
そばは日本各地で作られ、地名が付いたそばをよく耳にします。もちろん岩手でもそばは盛んに作られており、次から次へとそばをお椀に入れる花巻のわんこそばは特に有名です。
私たちがよく食べるのは麺になったそばですが実はたくさんの食べ方があります。代表的なものとしてそば切り、そばかっけ、そばねりがあります。
そば切りは現在食される麺状のそばのことで、御祝いのごちそうなど晴れの日に食べられてきました。そばかっけはそれより手軽なお客様へのもてなしで出され、そばを熱湯や水で練って薄くのばし、細く切らずに三角に切ったものです。にんにく味噌やの味噌たれや、くるみ味噌などにつけて食べます。そばねりはそば料理の中で最も手軽にできるもので練り上げたばかりのそばを箸でちぎってたれにひたして食べる、普段の家庭料理です。
「そば自慢はお里が知れる」と言われるように、そばは少ない肥料で栽培でき、冷涼な気候にも耐え、生育期間が短いので痩せた土地でも栽培できます。東北の人たちは採れたそばを大事に、さまざまな食べ方で食べました。食べ物を大事にする文化は今回の「までに」という方言からも分かると思います。食べ物が豊富な現代に生きる私たちですが、この食べ物を大事にする心を、言葉と一緒に将来に残していきたいと思いました。
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カテゴリー:
おむすび料理・食育教室
- 投稿日:2014年4月23日