シェフと山・里・海、産地連携プロジェクト6
投稿日:2013年5月15日 投稿者:sot
ソウル オブ 東北
シェフと山・里・海、産地連携プロジェクト 5
[シェフツアー+東北の食大学に向けて 料理口座と食事会] 2013.5.15
ツアーの第5回目は、東京から15名、岩手・青森県内からも11名の料理人の皆さんと「阿部自然農園」「前沢牛の小形牧場」ほか2カ所を視察しました。
1.開催名称 シェフと山・里・海、産地連携プロジェクト 5
2.開催日時 2013年5月15日(水曜日)
3.開催場所 岩手県奥州市
4.主催 ソウル オブ 東北
5.協賛 株式会社 アッシュ・セー・クレアシオン
6.実施内容 生産地視察、懇親会、料理教室、食事会
7.参加者
[東京]
菊地 美升:ル・ブルギニオン 高良 康之:銀座レカン
増田 稔明:ル・デッサン 中西 貞人:スクレ・サレ
神戸 勝彦:MASSA 松本 浩之:FEU
川手 寛康:フロリレージュ 清水 将:開店準備中
小林 俊彦:仙水 松橋ひらく:コッレベレート
松本 一平:メルヴェイユ 石井 真介:レストラン・バカール
末藤 隆博:ラ・カスケット 渡辺雄一郎:シャトーレストラン・ジョエル・ロブション
坂口 洋一:㈱太陽
[青森]
須田 忠幸:八戸プラザホテル 中野 大:八戸プラザホテル
[岩手]
原田 良一 :レストランあさひや 狩野美紀雄:メトロポリタン盛岡
菊池 拓紀:メトロポリタン盛岡 駒場 利行:ロカーレ・アーシャ
片島 博之:イル・コンプレアンノ 伊東 拓郎:ヌッフデュパプ
中村 昌:ヌッフデュパプ 野中 恵介:レストラン大地工房
伊藤 勝康:ロレオール
敬称略 順不同
「阿部自然農園」では阿部さんと自然栽培農法の仲間の方々が出迎えてくださいました。皆さん短パンに着替えて、まずは手植えを体験します。水がとても冷たく、一本、一本を真っすぐに植えるのにも一苦労の様子です。次は青々とした苗を沢たくさん積んだ田植機に乗っての田植え体験です。皆さん、風を感じながらの田植えにとても楽しそうになさっていました。
お昼は釜戸で炊いて頂いたツヤツヤのひとめぼれのおにぎりを頂きました。なごやかな雰囲気のなか、阿部さんのお話を伺いました。自然栽培農法を始めたのは、自分にとって一番おいしい味は自然そのものの味だと思い、無農薬・無肥料の循環ができるにはどうしたらいいか?と試行錯誤を始めたそうです。土作りでも普通は堆肥を混ぜるが、阿部さんは土の持っている元々の力が甦っていくようにと無肥料で育てています。そして、だんだんと稲に対して悪い虫が付かなくなり、生態系のバランスが良くなり、自然の強い味ができるそうです。また、岩手県では自然栽培農法をやる方が増えており、この日は田植えをお手伝い頂いた、自然栽培農法のお仲間を紹介して頂きました。県内では在来の野菜が少ない為、県内の品種を探しつつ野菜を育てている方や、玄米を食べ始めてから体調の変化に驚き、米作りを始めた方、など、とても貴重なお話を頂きました。
次に訪問した「前沢牛の小形牧場」の小形畜産グループは六次産業を営み生産から小売まで携わっておられます。
今回は小形社長に牛舎を案内して頂きながら、お話を伺いました。小形牧場では、岩手県内の生後10ヶ月くらの子牛を育て、32ヶ月で出荷するそうです。シェフが手を差し伸べると大きい体で鼻を近づけてきます。飼料はビール酵母とおからを利用した発酵飼料。これはリーマンショック前にトウモロコシが高騰し、畜産農家の生き残りを考える上で、国内の食品残渣を旨く利用しようと言う事で始められたそうです。栄養価は低いが、アルコールの影響で吸収力が良くどんどん成長する事で1番の飼料だそうです。飼料からはかすかにお酒の香りがしました。他にも、栄養価の高い海外から輸入した大麦やトウモロコシ、臭い成分を軽減し、福島の放射能除染にも使用されているゼオライトなどを成長度合いに合わせて割合を変えながら与えているのだそうです。シェフの皆さんも飼料を触ったり、真剣な表情でお話伺っていました。この日訪れたシェフからは、出荷の時期等、様々な質問があがりました。小形さんとお別れをして一行は、ロレオールへと向かいます。
東北の食大学に向けて
〜プロからプロに伝える料理講座+山・里・海 食事会〜
[第一部]料理講座 16:00〜18:00
[第二部]食事会 18:00〜20:00
今回の料理講座、食事会には130名もの生産者、料理人の方がいらっしゃいました。
第一部のデモンストレーションではポール・ボキューズ時代から20年来のお知り合いだと言う銀座レカンの高良シェフとロブションの渡邊シェフにそれぞれデモンストレーションをして頂きました。
渡邊シェフは「久慈産アワビ 2種の調理法で山菜の様々な変化とジビエの定義に基づくフォワのクーリピスタチオオイルをあしらって」のデモンストレーションをして頂きました。
今回はジビエと言う事で地域性のある旬な食材を全て使い切るを事をテーマにレシピをお考えになったそうです。
短い時間の中で、あざやかな手際でどんどん調理を進めていく渡邊シェフ。会場の皆さんも手元のレシピと照らし合わせながら真剣な表情で順を追っていきます。
銀座レカン高良シェフによる「カーボンに包まれた短角牛のローストとドングリのピューレ」では高良シェフが前回のシェフツアーで食べたドングリのお菓子がわすれられなかった事、などレシピ作りに至までの経緯をお話頂きました。
黒のイメージから竹の墨を使って焼いた真っ黒なパンなど、どれも馴染みのない素材の組み合わせに会場の皆さんも驚きの様子でした。「いろんな方向に食べ進んでもらいたい」と料理の組み立て方や計算し尽くされた料理の盛り付け方など、まさにプロからプロへ伝えるの濃い内容のお話をして頂きました。
第一部の講義では、ル・デッサンの増田シェフとル・ブルギニオンの菊地シェフによる生産者と料理人の絆について語って頂きました。来るたびに岩手が好きになる、もっと生産者さんに自身をもってアピールして頂きたい、産地によって育て方が違ったり、分からない部分も多いけれど、頑張っていこうという姿に自分達も頑張ろうという気持ちになれる、など、お二人のシェフの生産者の皆さん対する熱く暖かい想いに触れる事が出来ました。
その間にも、裏の厨房ではシェフ達が一斉に食事会の為に準備をテキパキ進めていきます。
「皆さん、腹ぺこですか?腹ぺこですね、絶対においしいです」という菊地シェフのかけ声と共に、食事会へと場面はうつります。いよいよ食事会の始まりです。厨房からは料理が続々と運ばれてきます。全部で30品近い料理が提供されました。どれもいわて山・里・海の食材を使用した目を見張る料理ばかり。会場の皆さんの目が輝きます。生産者の方とシェフ達の素晴らしい交流の会になりました。